みそ健康レポート
みそ健康レポート
第8回 みそと放射性物質の除去
戻る みそ健康レポート トップへ戻る 次へ
【1】みそによって、原爆後遺症が少なくて済んだ
1945年、広島と長崎に世界初の原子爆弾が投下されました。その爆弾は強大な爆発力で数多くの人命を奪い、都市を破壊したのみならず、それによって発生した放射線によって多くの人が後遺症で苦しむことになりました。
その後も冷戦体制の中で、地球を何回も破壊することができるほどの核兵器が製造され、原爆実験による被ばく事故が発生しました。一方、原子力の平和利用が進むなかで、不幸にして起こった放射能漏れ事故により、被ばくした人もいるのが実情です。

ところで、広島での原爆後遺症の調査の中に「みそを食べていたので、原爆後遺症が軽症で済んだ」という報告があります。この結果はヨーロッパでも知られており、1986年のチェルノブイリ原発事故の際には、ヨーロッパへのみそ輸出が急増しました。
さて、みそには本当に体から放射性物質を取り除く効果があるのでしょうか。広島大学の伊藤明弘教授は、マウスを使った実験で、この効果を確かめています。

まず、マウスを4グループに分け、それぞれに次のような餌を1週間与えます。

  1.乾燥赤みそを10%混合した餌
  2.しょうゆを10%混合した餌
  3.みそ入り餌と同じ塩分になるように食塩を入れた餌
  4.普通の餌

その後X線(放射線)をマウスに照射し、その後の小腸粘膜幹細胞の生存率を調べます。これは、放射線障害の一つとして、小腸の内側の粘膜がはがれ落ち、強い消化管出血を起こして下痢・貧血を引き起こすということがわかっていたためです。
放射線照射の3日後の小腸粘膜幹細胞の生存率をまとめたのが下のグラフです。 X線の照射量が多いほど、小腸粘膜幹細胞は死滅していますが、みそ餌を与えたグループは最も細胞生存率が高いという結果が得られています。しょうゆ餌に関しても同様の傾向があります。
また、みそ餌、しょうゆ餌を与えられたマウスの腸粘膜を見てみると、傷んだはずの粘膜細胞が再生している様子が観察されたそうです。

さらに、マウスに直接アイソトープ(放射性同位元素)のヨウ素131とセシウム134を投与し、体内から排出されるか、という実験も行われました。その結果、あらかじめみそ餌を食べていたマウスでは、普通の餌を食べていたマウスよりもヨウ素をより多く排泄し、筋肉中のアイソトープ量も少なかったという結果が得られました。
ここから、みそ・しょうゆには、放射線から体を守る作用があることがわかりました。

参考文献
伊藤明弘「放射性物質を除去するみその効用」みそ健康づくり委員会『みそサイエンス最前線』1999年、pp.1-5。
渡邊敦光「放射線や発がん物質が消化管におよぼす障害作用を、みそはどこまで防げるか」みそ健康づくり委員会『みそサイエンス最前線』1999年、pp.99-110。
(注)みそ健康づくり委員会『みそサイエンス最前線』については、1999年2月に改訂版が発行されました。ここでは改訂版にのっとって表示します。
戻る みそ健康レポート トップへ戻る 次へ