みそ健康レポート
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第3回 みそと病原細菌
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【2】みそが食中毒に強い、塩分以外の理由
無塩みそでも、みそ中の病原細菌は死滅してしまいました。それでは、みそが細菌に対して強いのは、どうしてなのでしょうか。
理由としては、主に次の3点が挙げられます。

(1)pHの低さ みそを仕込むと、麹菌が作り出した酵素が、たんぱく質を分解してアミノ酸を作ります。また、乳酸菌は、みそを安定的に発酵させ、味を整える役目を果たしていますが、その活動中に乳酸を発生します。こうしたみその中の微生物の働きにより、熟成するにしたがってみそのpHは低くなります。
みそのpHは、各種細菌の生育に最適なpH域よりも低く、生育可能pH域の中でも下限値に近い値になります。その結果、みそ中では各種の細菌は生育できないのです。

(2)生成アルコール量
みそ中の酵母は、みその香り成分を作り出しますが、その活動過程でアルコールを発生します。みそ中のアルコール量はおよそ1〜2%程度です。
アルコールについて、大腸菌の生育できる上限は6%、ブドウ球菌については9%とされており、1〜2%のアルコールでは生育できるように思われます。しかし、6%および9%という数値は細菌にとって最も好ましい状態の下で計測されたものであり、みそ中のような細菌にとって過酷な環境下では、アルコール耐性も弱まるものと考えられています。

(3)水分活性値の低さ
水分活性値が高いとは、自由に食品の外に移動できる水分が多いということを意味します。細菌など微生物はその水分を利用して繁殖します。一方、食品中の成分と結合している水分は外に出ることができず、微生物も利用できません。
みその場合、大豆や米の組織の中に取り込まれ、糖やアミノ酸が溶けこんでいる水分が多く、自由に食品の外に移動できる水分は少なくなっています。みその中の水分活性値は各種細菌が生育できないか、できたとしても下限値に近いものになっているため、細菌が生育するのに必要な水分が供給されないと考えられます。

以上3点に加え、もちろん塩分も細菌の繁殖防止に役立っています。こうした数々の条件が、みその安全性を高めているのです。
みそは原料の上からも、発酵・熟成の工程の上からも、安全な食品と言えます。これからも、安心しておみそをお召し上がりください。

<最後に>
みそは食中毒に強い食品ですが、食中毒はいつ、どんな原因で発生するか、予測のつかないことがあります。手洗いの励行など、食中毒に対する基本的な対策は必ず守ってください。また、病原性大腸菌O-157については、保健所、病院、関係官庁等の指示に従って行動されますよう、お願い申し上げます。

参考文献
窪田 譲・伊藤公雄・望月 務「味噌と病原細菌 −食品衛生面からみた菌学的安全性−」『日本醸造協会雑誌』第76巻第12号(1981年12月)、pp.821-826。
伊藤公雄・今井 学・石神 実・武田 茂・安平仁美「味噌熟成過程における添加大腸菌の消長」『味噌の科学と技術』第31巻第3号(1983年3月)、pp.102-106。
(注)みそ健康づくり委員会『みそサイエンス最前線』については、1999年2月に改訂版が発行されました。ここでは改訂版にのっとって表示します。
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