“天然みそ”は存在しない?! −天然醸造みその作り方−

 新年あけましておめでとうございます。

 新しい年をどのように迎えられましたか? 信州諏訪も例年通りの厳しい寒さです。風邪を引かないように、おいしいものを食べて元気に過ごしたいですね。タケヤみそは、今年も家族の温かい笑顔に囲まれた食卓を応援します。

 食べ物に対する関心が高まっている中、天然の素材を求める動きも出てきているようです。今朝「天然だし」のお雑煮を召し上がった方もいらっしゃるでしょう。そこで、みそと天然の話をしたいと思います。

 しかし、のっけから恐縮ですが、実は“天然みそ”というものは存在しません(たぶん存在しないと思います)。もし“天然みそ”というものがあるとすれば、「どこかの山中に深く分け入り、大豆が自然に発酵してペースト状になったものを掘り出してきた」ということになりますが・・・ちょっと考えにくいですね。

 一般にみそで天然というと、“天然醸造”のことを指します。これは、「一切人工的な加温をせず、自然の温度変化の下で発酵・熟成させたみそ」のこと。“天然”の反対語が“人工”であることを考えても、ご理解いただけるのではないかと思います。昨年の全国味噌鑑評会で農林水産大臣賞をいただいた当社の「名人のみそ」も、天然醸造で作られたみそです。

 本来、みそはすべて天然醸造でした。しかし、天然醸造は完成までに時間がかかるため、発酵の初期に加温してみそを早く作る方法が考え出されました。別名「速醸法」とも言われるこの方法が発明されたために、みそ業界は高度成長期の急速に増える需要を満たすことができました。
 しかし、これからの時代、急いでみそを作る必要性は薄れています。むしろ、じっくり時間をかけて作り上げる豊かな味わいが求められているのではないでしょうか。

 天然醸造は「自然の温度変化の下で」作り上げるみそです。一見、自然任せで気楽な作り方に思えますが、実はそうではありません。天然醸造のみそづくりは、毎日のみその状況を見て判断しながら作るものです。
 例えば夏の暑い時期に、できるだけ温度を下げたいと思ったら、夜間、蔵の窓を開けておき、早朝に閉めて蔵の中の温度を下げるといった工夫をします。逆に温度を上げた方がいいと思う桶があったら、蔵の中で一番暖かい場所を探して置くようにします。つまり、今みそがどんな状況で、どうしてほしいのか、「対話」をしながら育てていくのです。

 「現代の名工」であるタケヤの技術部長はよく、みそづくりは人を育てるのと同じだと言います。みそと向き合う姿勢を表現した言葉でしょう。

 タケヤみそは今年も、みそと真摯に向き合い、おいしいみそを「育てて」いきたいと思います。
 本年もタケヤみそを、どうぞよろしくお願いいたします。

 今年もおみそがおいしい年でありますように・・・

(2009年1月)


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